ゴールデンウィーク、皆様はいかがお過ごしでしょうか?
ぼくは特に遠出の予定はなし。
出かけても近場で、基本的には家族とのんびりと過ごしている。
それはそうとして、今日は朝から、背中の右側が少し痛む。
寝違いか何かだとは思うのだが、少し不安。
というのは以前、“石”をやったことがあるからだ。
尿管結石。
もう8年ほど前になる。
まだ会社勤めをしていた。
ある日会社で、背中が猛烈に痛くなった。
我慢できなくなり、「ちょっとすみません……」と、会議室にこもり、椅子に横たわる。
しばらくすると治まった。
「ふぅ、なんだったんだろう今のは?」
席に戻って仕事をしていると、また痛みが襲ってくる。
うぅ……とまた会議室へ。
その繰り返し。
これは異状だ、と思った。
ぼくの体の中で、何かが起こっている……。
顔面蒼白で、冷や汗がタラタラ。
もうダメだと思って、会社の近くの小さな病院へ駆け込んだ。
簡単な診断の結果、「筋肉痛でしょう。湿布を出しときます」とお年寄りの先生は言った。
窓口で湿布を受け取りながら、「絶対ヤブだ、あの医者」とぼくは思った。
そのまま会社を早退して、タクシーでいったん帰宅。
しばらく小康状態になったので横になっていた。
一応、背中に湿布も貼った。
「本当に筋肉痛で、湿布のおかげでこのまま治っちゃったりして。あの医者、ヤブじゃなかったりして」と淡い期待を抱きつつ。
だが、そのうちにまた痛みの波が押し寄せ始めた。
しかも、前よりひどい。
死ぬほど痛い。
と言うより、いっそ殺してくれ! と思うほどの痛みだ。
もう夜になっていた。
家内に車を運転してもらい、総合病院の救急窓口へ向かった。
救急の担当医は、医大を卒業して間もないのではないかと思われる、若い女医さんだった。
しかも……美人。
触診をした彼女は、「石ですね。尿管だと思います。痛み止めを出しておきます。それで今日は我慢できるはずですので、明日の通常の時間にもう一度来院してください」とハキハキと言った。
ホッとした。
原因が分かったという安堵と、薬でとりあえずこの痛みから解放されるという安堵の両方だ。
ちょっと間をおいてから、女医さんは口を開いた。
それまでのハキハキさとはうってかわった、もじもじした様子で。
「あの、尿管結石なのは間違いないとは思いますが、可能性としては睾丸のガンも考えられないことはないんです。ですので……もしよろしければ、睾丸もお見せいただけますか」
彼女はぼくの目を見ずにそう言う。
一瞬の沈黙。
「ええと、あの、けっこうです」
ぼくは答えた。
医者に対してこの答え方でよかったのかどうかは、いま考えてもよく分からない。
トンカツ屋でご飯とキャベツのおかわりを勧められたわけじゃあるまいし。
でもそれに対して、「ハイ」と女医さんが小さく答えたのも、いま考えると微妙に変だ。
さて、翌日はヤブではない、と言うよりも逆に、すご腕おじいちゃん医師に診断してもらった。
間違いなく尿管結石で、それほど心配することはない、水をいっぱい飲めば出るから、という診断だった。
そのおじいちゃん医師に関しても語りたい物語はあるのだが、それはまたの機会にしたい。
さてこの痛み。
“石”じゃないよな。
今日のは本当に筋肉痛だよな……。