「趣味は何ですか?」と訊かれると困る。
実は昨日も、初めて会った方からそう訊かれて困ったのだ。
う~ん、と考えてから、「……ギター、ですかね?」
でも、どうもしっくり来ない。
確かにギターを演奏することでご飯を食べているわけではないので、ギターは趣味だ。
でも、ギターやギタリストや機材などに関する原稿を書く仕事をしている以上、完全に趣味とは言いがたい。
ギター関係費用は、来年の確定申告では必要経費に入れちゃおうかと思うほどだ(ウソ)。
同じような理由で、「音楽を聴くことが趣味」とも言えない。
趣味で聴く場合はもちろんあるが、仕事で聴く場合も非常に多い。
CDに関しては、仕事上必要で買うものは必要経費に入れてますし。
じゃあ、読書は?
これも音楽と同じだ。
もの書きなどを生業にしていると、どんな本を読もうとそれが自分の血となり骨となり肉となっていくのだから、趣味で読んでいるという意識はどうしても希薄になる(かと言って、常に仕事という意識で読んでいるわけでもなく、そのへんは微妙なのだが)。
まあそれ以前に、出版業界の一員である以上、「趣味は読書」ではすまされないだろう。
『オーラの泉』風に言うと、「読書は趣味ではない、必然だ」という感じ(笑)。
はい、だから本も仕事で買ったものはちゃんと経費にしてます。
これ、本当に仕事のため? ともし税務署に訊かれようとも、ぼくが仕事のためといったらソレは仕事のためなのだ(笑)。
しかし、これじゃあまるで“無趣味な男”だ。
そう言われるとなんだか、365日、仕事が終わったら毎日まっすぐ家に帰る、謹厳実直なサラリーマンのような気がしてしまう。
ああ、絶対ぼくには無理だ(と言うか、無理だった……これは実証済みだ)。
「好きなことを仕事にしろ」派と、「好きなことは仕事にするな」派がいる。
ぼくは絶対に「好きなことを仕事にしろ」派だ。
なぜならそのほうがぼくにとっては楽しいから。
趣味を仕事にすると楽しくなくなるという人もいるが、悪いがぼくは楽しいのだ。
そして、楽しいと感じるのは、自分にとってそれが正しいことだからだと信じている。
だから、趣味を仕事にしてしまったことに関して、まったく後悔はしていない。
いや、それどころか、趣味と仕事がもっとグシャグシャになって、もっとすごいことをやれそうな気がしている。
どうであれ、困るのは「趣味は何ですか?」と訊かれたときぐらいのもんだしね(笑)。