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執筆者
shimpei
細川真平 1964年生まれ。音楽ライター/エディター。
ジェフ・ベック、スティーヴィー・レイ・ヴォーン他のCD/DVDのライナーを手がける。また、音楽誌、ギター誌、ウェブ等にも幅広く執筆。
ギターは絶対ストラト主義。
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第21回 ピッキング考
2007年07月10日

昔から、ギターのピッキングは強ければ強いほどいいと言われてきた……気がする。
少なくともぼくの周りではそうだった。
あるギタリストを評価する基準として、「誰それはやっぱりピッキングが強いよな」という言い方がよくされ、それにウンウンとうなずいていたものだ。
でも最近は、ピッキングは強くなくていい、軽いほうがいい、という説を至るところで耳にするようになった。
今ではぼく自身もそう思っているし、軽いピッキングを心がけている。

軽いピッキングの利点はこんなところだと思う。
1.ピッチが狂わない
思い切りピッキングすると、当然、弦の振動幅が大きくなり、ピッチが不安定になる。
また、弦がフレットに当たってビリつきやすくもなる。
軽いピッキングだとそういうことはない。
2.強弱がつけやすい
常に100パーセントの力で弾いていたら、それ以上に強くは弾けない。
だが、いつも軽いピッキングをしていれば、少し力を加えてだけで大きなダイナミズムを作り出せる。
3.コントロールをしやすい
指に力が入っていない分、弦間の移動がスムーズにできるし、細かいフレーズをスムーズに弾けるなど、ピッキング・コントロールをしやすい。
つまり、2と3をまとめて言うと、ニュアンスを出しやすくなる、ということだ。
4.トーンが良くなる
1とも関係するが、弦が適正な振動の幅を保つので、ナットやブリッジに負荷をかけることなく、そのギター本来のトーンがきっちりと出る。
ピックアップのコイルから弦があまり外れないということも関係するかもしれない。
5.リズム感が良くなる
腕、手首から指にかけての力が抜けた状態での軽いピッキングのほうが、リズムに乗りやすい。
コード・カッティングでは当然そうだと思われるだろうが、これは単音弾きでも同じだ。

ではなぜ強いピッキングのほうがいいとされてきたのか?
ぼくが思うに、きっと昔は(今でも?)日本にはアンプを自然に歪ませるほどの音量を出す環境がなかったせいではないだろうか。
だから、レコードで聴くようなギター・サウンドを出すためには、なるべく強いピッキングで歪ませなければいけない、という神話ができ上がったのではないかと思う。
もちろん日本にだって昔から歪み系エフェクターはあったわけだが(いや、それどころか世界に冠たる名機をいくつも生み出した国だが)、きっと「いや、誰それはそんなものを使わないであの音を出しているのだ、それにはピッキングの強さしかない!」と、誤った情報を鵜呑みにした上での根性論的発想になったのではないかと、ぼくは思う。
実際には、大型真空管アンプをフルアップさせることで、海外のレコードで聴けるいい感じに歪んだサウンドはでき上がっていたわけだし、もちろん'60年代にだってファズやトレブル・ブースターなどはあったわけで、けっして力であの音を出していたのではなかったのだ。
だから、いまきちんと聴いてみるとジミ・ヘンドリックスもジェフ・ベックもジミー・ペイジもエリック・クラプトンも、けっしてピッキングは強くない。
いや、例えばクラプトンは、ブルース・ブレイカーズ時代までは強いピッキングをしており、そのせいでピッチが狂っていることがある。
'60年代半ばあたりまでは、海外でも強いピッキングによる歪みを求めていたのかもしれない。
だが、クラプトンもクリーム以降は徐々に軽いピッキングになっていく。
他のギタリストたちも同じだ。

ぼくは音楽ライターという仕事をしているので、いろんなプロ・ギタリストたちのプレイを目の当たりにする機会がある。
その中には、誰一人として強いピッキングをする人はいなかった。
いやもちろん、強い強くないは主観も入るから、絶対的な力具合を表すことはできないのだが、少なくとも“ピッキングは強ければ強いほうがいい”というやり方で弾いている人は一人もいなかった。
みんな、力が抜けた状態で軽やかなピッキングをしていた。
あの豪腕っぽい印象のあるフィリップ・セイスですらそうだった。
腕の振りの大きさと、ピッキングの当たりの強さを混同してはいけないのだ。
そして、出音のハードさ、ヘヴィーさにも、耳をくらまされてはいけない。
これはすっかり経験済みだから自信を持って言うのだが、軽いピッキングでも、アタックの利いたハード/ヘヴィーなトーンは作れる。
マスター・ヴォリュームなしの100Wマーシャルしかないなら話は別かもしれないが。

バークリー音楽院でギター科の助教授を務めるトモ藤田さんは、かつてジョン・メイヤーにギターを教えていた。
ジョン・メイヤーは、そのときトモさんからしつこいほど言われて、今でも心がけていることがあるという。
それは、「ピッキングはできるだけ軽くしろ」というものだった。

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コメント一覧
イングヴェイ
byサイクロン: 2007年07月11日 15時32分
無理な早弾きをしようとすると、つい力が入ってしまいますね。
先日DVDでインギーのプレイを観ていて気がついたのですが、あの音、スピード、パワーなど、サウンドの印象とはまったく逆で、ものすごく軽いピッキングで弾いてます。
また、左手の指ですが、基礎をきっちり学んでいるためか、他のロックギタリストと違って指運びがとても静かな動きです。
彼の早弾きってピッキングは力み、左手の指はバタバタしてそうな感じですけどね。
>サイクロンさん
byshimpei: 2007年07月11日 20時10分
上手いギタリストは、本当に軽いピッキングと無駄のない運指をしますよね。
まったく力んでいなくて。
はじめまして
bynorman: 2007年07月13日 01時06分
肝心のピックはどうなんでしょう。
昔はべっこうぽいのしかなかったので、勢い「強い」ピッキングになってました。よくサンタナがベース用のでかい三角ピック使ってましたけど、あれで「軽く」弾くのは難しいです。
私は、ティアドロップ型のナイロンピックを使っています。メーカーは、昔はYAMAHA。今はどこ二でもあるのを使ってますが、昔のピックに比べてしなりますね。
マンドリン用を使う強者もいましたけど。どうなのかな。
>normanさん
byshimpei: 2007年07月13日 21時37分
初めまして。
ピックはそれぞれの好みですからなんとも言えませんね。
サンタナはあの三角ピックで柔らかいピッキングをしますし。
ちなみに私はHERCOナイロン・ピックです。
ジミー・ペイジやジェフ・ベックが使っています。
ジェフは指弾きですが、「スキャッターブレイン」でのみこれを使用。
ジミ・ヘンドリックスが使ったという話もあります(未確認です)。
ロリー・ギャラガーも使っていました(2種類ある中の硬めのほう)。
マイケル・シェンカーはこのピックの逆側(尖っていないほう)で弾くらしいです。
【リッチーブラックモア】
by照木康太: 2007年07月21日 14時00分
初めて師匠のビデオを見たとき、軽さにも驚きましたが、どうも弦に入る角度も平行気味で自分との違いにを感じました。おっさんになって、若干逆斜めでピッキングするくらいが音的には最もきれいな気がしています。ただ親指が痛くなるし、全然早く弾けない(それもともとか)。
爪ですが、、、
by鳥派暖簾: 2007年07月31日 00時18分
ピッキング指の人差し指の爪は当たらないほうがうまい!とか、下手になる原因だから当たらないようにしよう!とか、一体どれが本当なんでしょうね?