エレキギターの塗装はラッカーがいいとされている。
そのほうが音がいいと。
だから基本的にはラッカー塗装のもののほうが値段も高い。
しかし、どうなんでしょう、これ?
本当にそうなのだろうか?
確かにヴィンテージ・ギターはラッカー塗装だ。
でもその時代にはそれしかなかったから、ということもある。
ヴィンテージ・ギターの音のよさが(いや、本当は音の悪いヴィンテージだっていっぱいあるのだが)、ラッカー塗装のおかげと一概には言えないと思う。
木やピックアップやコンデンサーなどの要素、そして経年変化のほうが、音への影響は大きいはずだ。
かく言うぼくも、まったく同じ仕様のポリ塗装とラッカー塗装のギターがあったとしたら、ラッカー塗装のほうを買うだろうと思う。
なぜか?
うーん、なぜ?
なんとなく、ラッカーのほうがよさげな気がするから(笑)。
いやもう、それに尽きるのではないでしょうか?
気分の問題(笑)。
正直言って、ぼくにはラッカーとポリの音の違いなんか分からない。
ぼくの耳の問題かもしれないけれど。
ぼくの'79ストラトはポリ塗装だが、すごくいい音がする。
(ぼくが“いい音”と言うときは、“ぼくにとってのいい音、ぼくの好みの音”という意味であって、絶対的なものでも普遍的なものでもないので、誤解しないでくださいね。絶対的・普遍的ないい音なんて存在しないと、ぼくは思っています)。
ちなみに'79、ネックをリシェイプしたときに、ネック・指板をラッカー塗装に変えた。
これは主に、弾き心地・手触りを重視してのことだ。
もう1本の、ぼくの“ナンバー・ワン”である'65ストラトもすごくいい音だ。
こちらはもちろんラッカーなのだが、ラッカーのおかげでいい音なのかどうかは分からない。
トーンを決める要素のひとつだとは思うけれど。
'65と'79の音を比べたときに、アルダー・ボディ/アッシュ・ボディ、ローズ指板/メイプル指板の違いは強く感じるけれど、ラッカー/ポリの違いは、ぼくには感じられないのだ。
例えば、現行ジェフ・ベック・ストラトはポリ塗装だ。
これは、ポリ塗装のほうが好きだというジェフの指定によるものだ。
さて、では、「ジェフのギターの音はポリ塗装だからダメだなあ」、なんて言う人はいるのだろうか?
『ワイアード』と最近の作品を聴き比べて、「やっぱりポリ塗装のストラトは音がよくないなあ」なんて言う人は、いるのだろうか?
もしいたとして……それって音楽を聴いてるんじゃない気がする。
まったく同じ材、同じ仕様、同じ人が同じ日に組み込んだ、ラッカー塗装とポリ塗装の2本を用意して弾き比べれば、こんなぼくにも違いが分かるかもしれない。
その結果、ポリのほうがよかったりして(笑)。
どなたかそんな実験をするときにはぜひ呼んでください。