六弦一会:
新説:ヴィンテージ・ギターとは○○○だった!
2012年12月11日
今回はヴィンテージ・ギターについて、いつもどおり適当にダラダラと語ってみたいと思います。
ヴィンテージ・ギターは、1本1本状態や音が違います。
製造されてから何十年も経った楽器が、すべて同じ状態のわけはありません。
ということは、すべての個体がいい音がするということも、あるわけがないということになります。
そう考えると、“ヴィンテージ=いい音”という方程式はまったく成り立たないということが分かりますよね。
ただ、昔のほうがいい材が豊富にあったということは言えると思います。
また、今では伐採してはいけないハカランダを普通に使えていた、というような事情もあるでしょう。
だからと言ってヴィンテージが絶対にエライということにはなりませんが。
ただ、いま生き残っている個体にはそれなりの理由があるとも思うのです。
たとえば、ハズレの材が使われていて、頑丈でないものは、どこかの時点で壊れてダメになっていたでしょう。
何かの理由であまり音が良くないものは、大事にされることなく、やはりどこかの時点で壊れたままほっぽり出されるとか、捨てられるとか、バーの看板代わりに使われて朽ち果てるとか(笑)したでしょう。
つまり、生き延びているということは、頑丈で、音が良い(と、少なくとも使った人には思われた)個体である可能性は高いと言えます。
そうなると、ヴィンテージ・ギターとは、基本は当たりのギターだったのではないかという気がしてきますね。
とは言え、冒頭に書いたように経年変化や、使われ方、弾かれ方などの様々な事情によって、状態や音は1本ずつ違いますし、人の好みだって千差万別ですから、ヴィンテージ・ギターはすべて音がいい、とはやっぱりいかないんですが……。
ところで、“生き延びているということは、頑丈で、音がいいギター”と書きましたが、もちろん中には、そうでもないのに偶然に偶然が重なって生き延びたギターもあるかもしれません。
邪魔なので捨てようとしたら粗大ゴミ収集が有料になるというのでしぶしぶ取っておいたとか、たまにケースから出して眺めるだけが趣味の人のもとばかりをたまたま転々としてきたとか、未来からタイムマシンで来た子孫に“何があっても取っておきなさい”と耳もとでささやかれたとか(笑)。
だから、もしヴィンテージ・ギターを弾いて音が良くないなと思ったら、音が悪いにもかかわらず今まで生き延びてきた幸運なギターとして、お守り代わりにするのもいいかもしれません。
あ、ろくに弾きもしないお金持ちの収集家たちは、ヴィンテージ・ギターをお守り代わりにしているのか。
やっと分かりました(笑)。
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