2006年12月、BLUESTONE co.は、THE SAVOY TRUFFLEから名前が変わって初のアルバムをリリースした。
ここには、06年1月の日本ツアー、9月のアメリカ・ツアーを共にした盟友であり、凄腕ギタリスト、クリス・デュアーテが参加。7曲中5曲で、素晴しいヴォーカルとギター・プレイを聴かせてくれている。今回の日本ツアーでも、彼らの息の合い具合は見事。今では、バンドにゲストとしてクリスを迎えているのではなく、クリスを含めてひとつのバンドになっていると言っても過言ではない。特に、二枚看板である住友俊洋とクリスのギター・プレイは、あまりにも激しく、あまりにもすさまじく、あまりにも圧倒的で、そしてあまりにも美しい。

07年1月12日、目黒BLUES ALLEYでのライヴ直前に、その2人から話を聞いた。
 
-- まずは、BLUESTONE co.の1stアルバムについて、お2人からご紹介いただきたいんですが。

住友:これまでのサヴォイ・トラッフルとは違って、もう少し“楽器”のほうに比重を置いたアルバムになっていると思います。今までにはない、僕とクリスのギターの絡みがあったりとか……そういう意味では音楽をやっている人たちにも聴き応えのある感じにできていると思います

-- 私のように、昨年のBLUESTONE co.& クリス・デュアーテのツアーを観た人間にとっては、「これだ!」って感じですけど(笑)、初めて聴く人にとっては衝撃的なんじゃないでしょうか。サヴォイしか知らなかった人とか……。


住友:おおむねいい反応が返ってきてます。クリスのファンも僕たちのファンも、違和感なく聴いてくれてるみたいですね。前回のツアーがきっかけになって、このアルバムも一緒にやることになったんですけど、よりバンド色が強くなって、すごくいい仕上がりだと思ってます

クリス:このアルバムの一部を担えて、光栄だよ。トシ(住友)は素晴しいソングライターだし、メンバー全員が素晴しいミュージシャン。だから、大きな可能性を持ったコラボレーションになったと思うし、すごくいいアルバムになったと思う。多くの人に聴いてもらう価値のある、ね

-- ぼくもそう思います。

クリス:(日本語で) よかったね〜!(笑)

-- このアルバムは、いつ、どこで録音されたんでしょうか?

住友:時期的には去年の4〜5月あたりですね。曲作りはその前にわれわれ4人でやってまして。レコーディング自体は、クリスと一緒にはやってないんですよ。音源のやり取りだけで完成させたんです

-- そうなんですか!?それでよくこんなにグルーヴ感が出ますね!

住友:まずは曲を作るときに、クリスのことをイメージして作ったつもりですし。前回、ツアーを一緒にしてたので、クリスがどういうパフォーマンスをするかも、予想ができていたので。それに、日本サイドの録音は、4人でやってますからね


-- クリスさんはひとりで、日本から送られてきた音源に歌とギターを入れる作業をされたんですね?

クリス:すごく楽しい作業だったよ。曲はすぐに気に入ったしね。誰かが書いたメロディーに、言葉を選んで歌詞を付けていくっていうのは、これまでやったことがなかったから、すごくいい経験になった。ギターに関しても、彼らは僕に自由にやらせてくれたんだ。アーティスティックな自由を与えてくれた。だから、自由なコラボレーションになったっていうか。これも、もうひとつのいい経験になったね

-- お2人は、お互いをギタリストとしてどう見ているんでしょうか?

クリス&住友:グレ〜ト!(2人で肩を抱き合いながら)

-- (笑)。

クリス:トシは素晴しい自分自身のスタイルを持ってる。僕はトシが弾くのを聴いて彼のアイディアを盗もうとさえしてるよ。彼はすごいアイディアをいっぱい持ってるからね。本当に偉大なプレイヤーだし、素晴しいソングライターだ


-- 住友さんのスライド・プレイに関してはいかがですか?

クリス:もちろん日本で最高のひとりだろうし、世界的に見ても20人に入るプレイヤーだと思うよ。しかもトップに近いところにいる。世界中が彼のギター・プレイを聴くべきだと思ってるんだ

住友:(手を合わせて深くお辞儀)

クリス:ザッツ・トゥルー!(笑)

住友:僕はクリスのことはデビュー当時から聴いてるし、アルバムも全部持ってたんですよ。でも彼には、ライヴやるたびにインスパイアされますね。演奏する姿勢、ミュージシャンシップ、すべてにおいて……人間性、パーソナリティ、すべてが大好き(笑)。一緒にやってて、すごく楽しい


クリス:アリガト!(日本語で)

-- 1年前の日本ツアーが初めての共演だったんですか?

住友:そうです。スタイル的にも違うんで、ここは僕が弾く、ここはクリスがっていうのはすぐに、自然と決まりましたね。年齢も近いですし、聴いてきた音楽も近い、でもスタイルは違うっていうのが、いいところですね

-- このサイトをご覧になっている、特にアマチュア・ギタリストへ、アドヴァイスとメッセージをお願いします。

クリス:メトロノームを買うこと、メトロノームを使って練習すること、コードを勉強すること。それから、常に心で弾くこと。常にいい人間でいること

-- あなたみたいに(笑)。

クリス:そうありたいと思ってるよ(笑)。うん、それが基本的にはすべてだね

住友:とにかく、時間がある限り練習。常に自分を高めようと思うこと。それから、ギターはいろんな人と出会うきっかけを作ってくれるんで、それは大事にしてほしいですね。ギターがいろんなところへ連れて行ってくれるし。そういうことを考えながらやってほしいんです。あとはもう、常にプラクティス、プラクティス、プラクティス

クリス:(微笑みながらうなずく)
 
BLUESTONE co.の他のメンバーたちからも、アルバムについて、そして2人のギタリストについて語ってもらった。ベース、パーカッション、ドラムスのコンビネーションが生み出すグルーヴ感は、日本人離れしたとでも言おうか、世界レヴェルとでも言おうか。
住友とクリスという他に類を見ないギタリスト2人を支え、煽り、乗せる、鉄壁のリズム・セクションだ。

-- 今回のアルバムについてお聞かせください。

小笠原義弘(b):今回はいつもの作り方ではなかったんですけど、極力シンプルに作って、プレイにベストを尽くしていこうと思いました。アレンジで言うと前よりリフが少なくなった感じですね。とにかく、そのときの自分たちのベストを出したと思います

高木太郎(per):クリスのギターが入ったときに、パーカッションの音がどう抜けていくかを予測して作りました。その前のツアーを録音したものを聴いて、研究したり。とにかくええ音で録りたい、というのがまずあって。それで、できるだけのことをやりました。その時点でのベストを尽くした、ええ感じのアルバムになってると思います

高藤泰三(dr):曲作りが非常にシンプルで、それだけにグルーヴ感をしっかり出さなあかんというのをすごく心がけました。スネアの音色ひとつにしても、曲ごとにどの音が合うかとか、ディスカッションをしながら、試しながら決めていきました。ギターがもう1本入ったときの噛み合わせ方みたいなものも想定しながら

-- 住友さんとクリスさんのことを、どんなギタリストだと思いますか? まずは住友さんについてお願いします。

小笠原:ヴァイブレーションをすごく与えてくれますよね。トーンひとつひとつにしっかりと魂があるという感じです

高木:弾くフレーズに対しての彼自身の考え方が、物語的にきれいにできてるんですね。こういう気持ちでここを弾く、こういう気持ちでここを盛り上げて、こういう気持ちで終わって次へつなげる、そういうしっかりしたヴィジョンを持ってます。それでいて、魂を込めて熱く弾くっていうところが魅力ですね

高藤:2人が言ってることとまったく同じなんですが、プラスして、すごくガッツを与えてくれるギタリストだと思います

-- では、クリスさんは?

小笠原:クリスはね、すごいですよね。音楽というのはこういうふうにするんだというのを、間近に見せてもらってます。それがぼくには最高にプラスです

高木:クリスは、とにかくすごいです(笑)。ギター・プレイのすごさはもう明らかですけど、それプラス、ミュージシャンとはどうあるべきかっていうことを、身をもって教えてくれますね。機材も自分で運ぶし、セッティングも自分でするし。日本のミュージシャンが見失ってしまってることをもう一度教えてもらってる気がして、すごく感謝してます

高藤:クリスも同じで、やっぱりガッツを与えてくれます。2人とも、ガッツを与えてくれる、ヴァイブレーションのあるギタリストですね
 
1st Album『BLUESTONE co.』

発売日:2006/12/20
レーベル:BIG STONE
規格品番:RDCA-1004
価格:2.100(in tax)

BLUESTONE co.オフィシャルHP
 

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