一旦ゲストが全員ステージを去り、稲葉政裕FAR EAST CLUB BANDによるCrusadersの「Spiral」がブリッジとして短くプレイされる。もちろん稲葉はES335に持ち替え、ウォームな音色で伸びやかにフレーズを奏でていた。
さて、ここからはそれぞれのゲストによるパフォーマンスの始まりだ。
最初に登場した近田潔人は、ジャズマスターからゴールドトップのフルアコに持ち替えて、聴き覚えのあるフレーズを弾き始める。乾いたストレートなギターとサックスは、50〜60年代トゥワンギー・ギターの名手として最近改めてリスペクトが集まるDuane Eddyのナンバー。
2曲目は、CCRの「Have you ever seen the rain」。
チョイスする曲といい、ギターといい、なかなかのギターフェチぶりである。
グランドファンクの「Heart Breaker」のジングルとともに登場したのは、SGマン、葛城哲哉。
いわゆる低迷期を経た後のスマッシュヒット「We're an American band」と「The locomotion」を披露してくれた。
当時、どんどん複雑化していくブリティッシュ・ロックに対して、シンプルの極み、みたいな言い方をされていたグランドファンクだが、こういうシンプルかつノリノリ路線がこういうイベントにはピッタリ。
葛城も演奏していて本当に楽しそうである。
「Kid Charlemagne」が終わったところで、スペシャルゲスト根本要の登場である。
開口一番「良いイベントだけどね、MCが短いよ。」に場内爆笑。
というわけで、お約束のMCタイム、根本教授によるクラシカルロックについての講義がはじまる。
「Kid Charlemagneのソロをコピーするのに1ヶ月かかった」by西慎嗣や「9thや13thが出てきて面食らった」by稲葉政裕など、他のメンバーの告白もはさみながら、「クラプトンはSteppin’outというブルースナンバーに無理矢理Hideawayという曲名を付けて、作者のFreddie Kingに印税をプレゼントした」などなど、興味深い話も飛び出し、会場のオーディエンスも思わずうなずく。
その根本要、近田潔人を交えてプレイされたのは、Eagles の「Life in the fast lane」。
根本のストラトは乾いたトレブリーなサウンドによるカッティングを決め、稲葉は野太いスライドを唸らせる。何本ものギターが巧みに織り込まれたこのナンバーはまさに今夜のステージにピッタリであった。
ステージは、そのまま根本要のワンマンショー状態に。
MCの話題にのぼったFreddie Kingの「Hideaway」に続いて3曲目は、Mountain の「Mississippi Queen」。
最高のシャウトを聴かせてくれる。次は「Rockにもこんなしみじみとした名曲があったことを知って驚いた」by 根本要という、「Theme for an imaginary western」。
もともとはJack Bruceの曲で、Creamのプロデューサであった
Felix Papalardiが柳の下のドジョウを狙って結成したMountainがカバーした名曲だ。このあたりの逸話も根本要は、しっかりと解説。
最後はかの名曲、Johnny & Edgerの Winter兄弟の名サイドマンとして活躍したRick Derringer の「Rock and roll hoochie koo」で根本ショーを締めくくった。
気がつけばイベントはあっという間にエンディング。
ここはゲスト抜きで、FAR EAST CLUB BANDがThe Band の「The weight」をしみじみと奏でる。
ボーカルは、もちろんドラムスの木村万作から、各メンバーへの「まわし」。
CrusadersにThe Band、まったく器用なバンドである。
アンコールThe Doobie Brothers の「Listen to the music」で、場内の盛り上がりは最高潮に。
「もう1曲」を求める客席の声に応え、アンコールとしてプレイされたのはオープニングナンバーの「You don’t love me」。
どんどんテンションが上がっていく白熱のギター・ジャムが3時間に渡るイベントのフィナーレを飾った。
You don’t love me The Allman Brothers Band
Spiral The crusaders
A melody of the twangy Duane Eddy
Have you ever seen the rain Creedence Clearwater Revival
We’re an American band Grand Funk Railroad
The locomotion Grand Funk Railroad
Light my fire The Doors
Alison Elvis Costello
Helter-skelter The Beatles
White room Cream
Kid Charlemagne Steely Dan
Life in the fast lane Eagles
Hideaway J.Mayall & The Bluesbreakers
Mississippi Queen Mountain
Theme for an imaginary western Mountain
Rock and roll hoochie koo Rick Derringer
The weight The Band
Listen to the music The Doobie Brothers