CD1

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 松浦善博と住友俊洋。

 間違いなく、日本を代表するスライド・ギター・プレイヤーだ。

 ツイスト時代に松浦がスライドを弾きまくる姿は、テレビを通してお茶の間のギター・キッズたち(住友もそのひとりだ)に大きな衝撃を与えたし、住友のプレイには、ここのところ共演する機会の多いクリス・デュアーテですら舌を巻く。

 その2人ががっぷりと四つに組んだ、松浦善博 & Bluestone Companyのライヴ。その共演はまさに、ギターによる「饗宴」とも呼べるものだった。

 繰り広げられたのは、松浦の最新アルバム『Slidin'&Slippin'』からのものと、Bluestone Co.のナンバー(Savoy Truffle時代のものも)、そしてカヴァー曲。比率としては松浦の曲が多かったのだが、随所で2人による息を呑むスライドの名演を見せつけてくれた(ただし、松浦・住友ともに押弦プレイも素晴しいので、スライド以外の見せ場・聴かせどころも多々あったことを付け加えておきたい。中でも、オールマンズのカヴァー「エリザベス・リードの追憶」は白眉だった)。

 

 よくギター・バトル、ギター合戦という言い方をするが、松浦と住友にそれは似合わない。彼らのプレイはけっして戦いではない。激しくしのぎを削っているようでいて、その実、見事に調和しているのだ。だからこそ、スリルに満ちたサウンドがもたらすカタルシスだけではなく、音楽的な感動に、聴く者は包まれることになる。

 2人のプレイには、それぞれの個性がある。住友はどこまでもハイ・テンションに盛り上げていくタイプだし、松浦は起伏をつけるタイプ。そんな両者だからこそ、調和もけっして予定調和ではない。異質なものを抱えた2人が、魂のどこかで通じ合った結果として混じり合う。これこそ、本物の調和だと思う。ビンビンと体に響いてくるサウンドともに、本物のミュージシャンによる、本物の調和を体験できたことは、この上ない幸せだった。

 また、小笠原義弘(b)、高藤泰三(dr)、高木太郎(per)のリズム・セクションには、今さらながら度肝を抜かれた。  パワー、サウンド、グルーヴ、正確さ、熱さ、色気……そんなさまざまな要素(その中には相反するはずの要素もいっぱいあるのだが)をすべてまとめ上げた彼ら。間違いなく、世界最高峰のリズム・セクションと言えよう。
 
CD1

1. 松浦インスト

2. 俺のピストルはどこだ

3. フィルモア最初の日

4. Baby No More Bad Games

5. 住友インスト "Funky Mama"

6. ギターとロックンロール

7. In Memory Of Elizabeth Reed

8. A Small House In San Francisco Bay

9. Hey! Hey! What Do You Say?


10. Feel So Bad

11. Slow Song

12. Long Distance Call

13. Rivival

14. Silver Horse

15. It's Only Trackin' Roll

16. Las Bres In A Minor

-Encore-

This Life

Statesboro Blues