

6月1日から5日間連続で行われた、Blue Note Tokyoでの最終日。ドリーム・メンバーによる躍動感あふれる、熱いパフォーマンスを体験することができた。
超一流のメンバーだけあって、当然4人全員から目が離せなかったのだが、なんといってもこのメンバーの牽引役は、マイク・スターンのギターとランディ・ブレッカーのトランペットのツートップだと感じた。メリハリがあり、パワー全開のギターにまったく引けをとらないランディのトランペット。ギターとの半音地獄のユニゾンプレイや、二人がお互いのフレーズに触発され、自らのソロをさらに展開していく様は圧巻。
超売れっ子ベーシストのリチャード・ボナ。今回はベーシストに専念するのかと思いきや、ギターのトーンと一緒に歌うやさしく美しいファルセットやルーパーを使った一人アカペラ多重奏も飛び出し、ファンを喜ばせてくれた。
また、デイヴ・ウェックルもドラムをゴロゴロ歌わせながら正確にメリハリをつけていくドラミングで、そのパワフルさとストイックさはさすが。あっという間に時間が過ぎていったという印象が強く残る圧巻のパフォーマンスだった。
それでは、マイク・スターンのギターにフォーカスしてもう少しレポートしてみよう。
ギタープレイ
マイク・スターンのギタープレイは、ライブではいつものことだが、アルバムとは違って長時間弾きまくる、メリハリのある展開が魅力的であった。もう少し具体的にいうと、アタックが少なく、浮遊感のあるクリーン・トーンでメロディー・ラインを歌い、やわらかいコード・カッティングや時にはロング・ディレイを活用したキーボード的音色で色付けをし、曲の盛り上がりでは、ディストーション・サウンドでロックなリフやフレーズでたたみかけてくる。
1曲の中でギタリスト3人分くらいの音色やフレーズを使い分け、しかも難解なフレーズをスムーズに聴かせることが、この人の最大の特長だといえるだろう。
多彩なフレーズを苦もなく歌うための秘密を知りたいという思いで、右手の動きに注目してみたが、そのピッキングタッチは、手首から先を中心にまるで撫でるようにやさしく、かつ素早くしなやかなタッチに見えた。

機材
マイク・スターンのギターは、ここ10年来のお気に入りであるヤマハのパシフィカ・マイク・スターンモデル1本のみ。見た目は、弾き易そうなモディファイが施されたテレキャスターに見えるが、その出音は、本人がフロントピックアップ(ダンカン59)を多用していることもあって、一般的なテレキャスターのそれとは随分と異なる。元々暖かい音色でメリハリが利いているのが特長の固体で、本人が惚れ込んで弾き込んできたこのギターは、出音に関して奥さんのレニー・スターンから譲り受けて使っていた改造ビンテージテレと殆ど違いがわからないといわれる。アンプは多分レンタルされたであろうフェンダー・ツイン・リバーブが2台(2台ともパワーオンであったが、1台はスペア用)で、ビブラートチャンネルのインプット1を使用し、ボリュームは4くらい、トーンセッティングはベース、ミドル、トレブルともほぼフラットあった。エフェクターに関しては、彼の音色の特徴にもなっているヤマハのマルチエフェクターSPX90がラックに収められた状態で、アンプの下にセットされており、微妙なコーラス効果を奏でていた。ちなみにプリセットNo.は23であった。また、足元のエフェクター群に関しては、おなじみのBOSS製で固められており、デジタルディレイの名器DD3が2台とディストーションのDS1およびチューナーという非常にシンプルなものであった。またスペアのディレイと思われるDD7も横置きで無造作におかれていたことも確認できた。
セットリスト
- TUMBLE HOME
- KT
- WISHING WELL
- WHAT MIGHT HAVE BEEN
- SAMAOUMA
- CHATTER
- BIG NEIGHBORHOOD
Big Neighborhood
/Mike Stern
- Big Neighborhood
- 6th Street
- Reach
- Song For Pepper
- Coupe De Ville
- Bird Blue
- Moroccan Roll
- Long Time Gone
- Check One
- That's All It Is
- Hope You Don't Mind

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